2011年12月10日土曜日

外交を政局にしちゃいかん

鳩山氏もそうだし、民主党もそう。ひどすぎる。

普天間移設「県外やめた」もやめちゃった鳩山氏
2011.12.10 18:00 (1/3ページ)[名言か迷言か]

インタビューに答える鳩山由紀夫前首相=11日午後、東京・永田町の衆院第1議員会館(酒巻俊介撮影)

 一川保夫防衛相に対する問責決議案が9日、参院本会議で可決された。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)は日米両政府の返還合意から既に15年が経過。だが、地元沖縄の民主党政権に対する不信感は頂点に達しており、移設が進展する気配は見えない。

 その普天間問題をめぐり今週、新たに飛び出した発言が政府内に波紋を広げた。

 「(名護市)辺野古以外を探す努力を続ける必要がある」

 5日の講演で、こう力説したのは鳩山由紀夫元首相だ。藤村修官房長官は翌6日の参院外交防衛委員会で、「真意を聞きたい。(移設先は)さまざま模索し、すでに探し尽くしたというのが私の見解だ」と疑念を表明。

 玄葉光一郎外相も同日の記者会見で、「特にコメントはない。私としては私の立場で一つ一つ(沖縄との信頼関係を)積み重ねをしていく」と突き放した。

 鳩山政権で失墜した日米関係を修復するため、政府は2006年に日米で合意した現行案の辺野古移設に向け、沖縄の理解を得るべく年内の環境影響評価書提出の準備を進めている。

 そんな中での鳩山氏の発言。首相在任中、県外移設を模索したかと思えば、「辺野古(案)は生きている」「(辺野古以外の)腹案がある」など数々の「日替わり」発言で日米両政府を翻弄した鳩山氏。

 散々、問題をこじらせた揚げ句、昨年5月には「学べば学ぶほど海兵隊の存在が沖縄の米軍全体の中で連携、抑止力が維持されている」と述べ、日米両国民をあぜんとさせ、あえなく鳩山政権はズッコケた。

 その後も、首相退任後の議員辞職を撤回し、管直人前首相の退陣工作が不発に終わると「ペテン師」呼ばわりもした。政治を極限まで茶番化してみせ、国民の政治不信を増大させた張本人でもある。

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インタビューに答える鳩山由紀夫前首相=11日午後、東京・永田町の衆院第1議員会館(酒巻俊介撮影)

 今さら、そうした人物の発言に目くじらを立てること自体が無意味なのかもしれない。時間や労力、活字の無駄だといった指摘もあるだろう。

 しかし、8月の党代表選でも明らかなように、オーナーという事情もあって、政権党の民主党内で一定の影響力を維持していることも否めない。逆に言うと、この程度の政治家が影響力を行使しうるという事実が、民主党のいびつな権力構造を象徴している。

 もちろん、政策論として辺野古移設の実現可能性に疑問を抱く立場はあり得るだろう。だが、発言を二転三転させて問題をこじらせた当人が今また前言を翻すのは無責任の極みというものだ。

 さすがに玄葉氏も藤村氏も、鳩山氏の「夢想する宇宙人」ぶりにはすっかり慣れたと見え、その後は静観の構えだ。ただ、野田佳彦首相も含め、次の発言だけは心中密かに「勘弁してくれ」と思っているに違いない。

 鳩山氏は5日の講演で、こう述べている。

 「首相を務めた人間として責任がある。(普天間問題には今後も)何らかの形で関わらないといけない」

 国民、とりわけ沖縄県民、民主党や米政府の空気が今もって、まったく読めていないのだ。(森山昌秀)

 ◇…先週の永田町語録…◇

(5日)

 ▽国営政党

 野田佳彦首相 国営政党というか、国民に支えていただいている国民政党としての自覚を持っていかないといけない。(衆院予算委員会で民主党の政党交付金への依存度の高さを指摘されて)

 ▽悪法がほとんど

 市田忠義共産党書記局長 残っている法案は悪法がほとんどだ。骨抜きの労働者派遣法改正案を一層骨抜きにする動きもある。悪法を通すための国会会期延長はすべきではない。(記者会見)

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インタビューに答える鳩山由紀夫前首相=11日午後、東京・永田町の衆院第1議員会館(酒巻俊介撮影)

(6日)

 ▽プライバシー

 藤村修官房長官 5日から販売が開始された財務省の「個人向け復興国債」を購入したが、金額についてはプライバシーの問題だ。(記者会見で国債購入額を問われ)

 ▽適材適所か

 茂木敏充自民党政調会長 間違いなく辞任に値する。(野田佳彦首相の)「適材適所」という言葉は何なのか。明らかに適材ではない。適所でもない。即刻罷免すべきだ。(一川保夫防衛相について民放テレビ番組で)

(7日)

 ▽汚い顔はどうでも

 亀井静香国民新党代表 現行法の修正で悲惨な状況が少しでも改善するなら、検討していけばいい。メンツとか言っている時ではない。私の汚い顔なんてどうでもいい。(審議が滞る郵政改革法案について記者会見で)

 ▽日本の存在感

 茂木敏充自民党政調会長 日本の存在感が国際的に薄れている。民主党政権の外交能力に対し、中国の期待感も低下している表れではないか。(野田佳彦首相の中国訪問延期について記者団に)

(8日)

 ▽クイズ形式

 野田佳彦首相 最近クイズ形式の質問が多い。わが国が1941年12月8日に米ハワイの真珠湾を攻撃した日だ。多くの国民は分かっていると思う。(参院東日本大震災復興特別委員会で「今日は何の日か」と聞かれ)

 ▽守るもの違う

 麻生太郎元首相 こういう状況になっても閣僚をかばう感じの発言が続いているが、守るべきものが違う。本来守るべきは国民の利益だ。(野田首相の政権運営について自民党の派閥総会で)


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